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多様化する製薬コンテンツ レビュー効率化のための4つの視点とは?

コンテンツの個別化が進み、コンテンツの量およびバリエーションが増加すると、求められるコンテンツレビューの数も増加します。その変化に対応するには、レビュープロセスを効率化することが求められます。コンテンツに関するベンチマークデータであるVeeva Vault PromoMats Standard Metrics 2023によると、世界各国のレビュー開始から承認までの期間は18~24日程度かかっています。
日本の状況について製薬会社の方々にお伺いすると、それよりは少し短い期間でレビューされている印象ですが、レビュープロセスの効率について課題を抱えられている会社がまだまだ多いように見受けられます。
レビューの基準ややり方については各社のポリシーがあるので、根本的に変えるのは難しいかもしれませんが、レビュープロセスを効率化するうえで工夫できることを4点ご紹介します。

1つめは、ドラフトの品質の向上です。ドラフトの中に、指摘されるべき箇所が多く残ったままだと、当然レビューによる差し戻しが多く発生することになります。それを回避するには、マーケティングなどの申請部門がNG事例を理解し、事前に問題のある箇所をつぶしておく必要があります。たとえば、審査部門が過去のNG事例をまとめてコンテンツ作成部門に継続的に研修をする、チェックリストを用いて申請部門内で自己レビューを行ったうえでないとレビューの申請ができないようにするなどのアプローチで、レビューでの指摘事項を大幅に減らしている例はあります。また、すでに承認されているコンテンツを再利用することも、ドラフトへの指摘を減らすことにつなげられる可能性があります。

2つめは、求められるレビューの度合いにより、レビューのフローを使い分けるというアプローチです。科学的な内容に影響しない軽微な修正であっても、フルレビューが行われ、長い時間待つ必要がある、場合によっては新たな指摘がされて戻されるという話はよく聞きます。そのような状況をなくすために、ティアベースレビュー(階層的レビュー)のアプローチをとっている例があります。新規なのか既存の修正なのか、またその内容に科学的主張は含まれるのかなど、いくつかの基準により、レビューの必要度を分類し、それに応じてレビューに関わるべきレビュアーとフローを調整するという方法です。レビューのワークフローを作り込む方法もあれば、コーディネーターが仕分けるという方法が取られている場合もあります。

3つめは、クレーム、コンポーネント、モジュールの活用です。複数箇所で用いられる汎用性の高い内容(鍵となる臨床試験データに基づく主張など)に修正が発生した場合、関連する箇所すべての修正を行う必要がありますが、それをいかに効率的に行えるかというのも、個別化ニーズに応えるコンテンツバリエーションを増やすうえで重要な課題です。そこで、コンテンツの中でよく用いられる内容を定義しておき、コンテンツのどこで使われているかをアンカーリング(紐づけ)しておきます。そうすると、該当箇所に変更が合った場合、どこを修正すべきかをまとめて特定することができます(図1参照)。詳細はここでは割愛しますが、Veeva PromoMatsにおいてそのようなオペレーションを効率的に行う機能が充実してきているので、必要に応じて活用を検討いただければと思います。

図1:クレームを活用したアンカーリングの例
fig1

4つめは、コンテンツレビュー状況のモニタリングです。レビュープロセスの課題を把握するには、レビューの申請がどれくらい上がっていて、どれくらいの時間レビューに時間がかかっているのかなど、レビュープロセスの管理部門がレビューの状況についてダッシュボードなどを用いて継続的に把握することが必要です(図2参照)。その理解をふまえ、管理者が把握した課題の課題解決に向けた改善策を提案・推進することにより、レビュープロセスをより効率化することにつなげることができます。そのために、管理部門は活用可能なツール・機能および業界での様々なプラクティスの理解を蓄積しておくことも重要です。

図2:コンテンツレビュー状況のダッシュボード例
fig2

詳しくはこちらのサイトをご参照ください。

もしかすると、コンテンツのレビュープロセスが多少非効率であったとしても、現状では大きな問題なくレビュー・承認が行えているかもしれません。ただ、今後、個別化されたコンテンツを作成し、顧客ニーズにより応えていくことを目指すのであれば、少しずつでもレビュープロセスの効率を高めておくことをおすすめします。

次回はコンテンツ活用プロセスの改善についてお伝えします。


このページでは、課題解決のヒントとなるトピックを、連載形式でお届けしています。

  1. Overview、個別化するコンテンツニーズにどう対応?
  2. コンテンツマッピング
  3. 制作プロセス改善
  4. レビュープロセス改善
  5. コンテンツ活用プロセス改善
  6. デジタルアセット管理(DAM)
  7. モジュラーコンテンツ

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