【開催報告・後編】Veeva Japan Commercial & Medical Summit 2026
〜現場で起きている変革の実践事例と Vault CRM が切り拓くプラットフォームの未来〜
前編では、サミットの全体概要と AI 時代のコマーシャルモデル(Agentic Commercial)についてお伝えしました。後編では、さらに深掘りした製薬企業様の事例と、それを支えるプラットフォームの進化をお届けします。

キーノート:AI時代における新たな顧客エンゲージメントの姿
Veeva Japanで Commercial Strategy をリードする山下篤志は、AI 時代における新たなモデル「Agentic Commercial」への移行を提唱。双方向の AI 対話と現場の「生の声」を統合プラットフォームで循環させる精緻なエンゲージメントの重要性を強調しました。また、日本国内においてもトップ 20 社の半数を含む移行計画が進むなど、日本における Vault CRM への着実なシフトと実績をアピールしました。
続いて、アステラス製薬株式会社 カスタマーエクセレンス部 部長の森岡真一様より「フィールド力向上に向けた次なる改革」、バイエル薬品株式会社 営業本部 セールスプラットフォーム企画部長の岩井敦史様および同 Sales planning & Excellence 部長の坂本泰之様より「現場起点で進める業務プロセス変革とデータ × AI による MR 生産性向上」と題した講演が行われました。両社における Vault CRM 活用と現場変革のリアルな取り組みに対し、会場からは高い関心が寄せられました。
製薬マーケティングにおける次世代のスキル・コンピテンシー
田辺ファーマ株式会社
マーケティング本部 執行役員 マーケティング本部長
川野 清伸 様
- 生成 AI の発展はマーケターの働き方、思考方法を根本から変える可能性に言及。Vault CRM 導入を機に「働き方と文化の変革」を推進。新時代に必要な 11 のスキル・6 つのコンピテンシーを定義し、アセスメントを通じた組織のケイパビリティ向上に取り組む事例を発表されました。
- AI 活用で成果を左右するのは「問いの設定力」であると強調。AI との対話で仮説検証を回しつつ、生み出した時間でマーケターが「現場に足を運ぶ」重要性を提示されました。

Vault Platform × Veeva AI が拓く顧客理解の新たな可能性
ネクセラファーマ株式会社
IT & Digital部 ビジネスアプリケーション・企業システム ディレクター
奥田 真輔 様
- 業界に先駆けて国内早期の Vault CRM 移行を完了し、Vault CRM 上の新機能を使ったトライアルを開始することをご共有いただきました。
- 医療従事者 との対話から生まれる価値ある言葉(言霊)をデータとして蓄積し、デザインされた DAM(Digital Asset Management)× 言霊の蓄積 × AI 分析を掛け合わせることで、高度な顧客理解を実現するアプローチを発表されました。
- 製薬企業同士の協働を増やすことで持続可能な医療に貢献するという想いを伝え、Veeva に対する業界ネットワーキングやデータシナジー創出などの期待も示されました。

新製品ローンチへの挑戦
大塚製薬株式会社
医薬営業本部 プロダクトマネージメントグループ 腎・免疫領域 PMM
安藝 貴文 様
- 希少・新規領域のローンチにあたり、高度なトレーニングを受けたスペシャリスト型リモート MR(専任 3 名)を配置。マーケターと 1 対 1 のバディを組み、共通 KPI のもとで協働する効率的なモデルを構築されました。
- 現場 MR と連携した「3 者リモート面談」などを進め、1 年弱で 3,500 回以上のリモート面談を実現。製品ポジショニングのブレを防ぎつつ、目標を大きく上回る成果を達成されました。

MR 活動はどこまで変わるのか?AI が実現する次世代のアクションサジェスト
アストラゼネカ株式会社
カスタマーエキスペリエンス & IT 本部 フィールドケイパビリティ&ローンチエクセレンス部 部長
大河原 美佐紀 様
- Veeva CRM/Link と Snowflake 上のデータを連携させ、面談準備や訪問計画を会話型 AI がサポートする「AI コンシェルジュ」を構築。また、Veeva Approved Email を使った医療従事者へのメール送信に AI を活用し、自動化を進めることで MR の業務負担の大幅な改善を進めていることを共有されました。
- 単なる AI 導入ではなく、ターゲットカバー率や処方依頼率などのビジネス成果を KGI に設定。AI の期待値コントロール、コマーシャルエビデンス(データの重要性)、コンプライアンスやビジネス部門との風通しの良い協働が成功の鍵であると示されました。

水平分業から垂直統合へ
〜「小さな全体」で実現する、AI 時代の顧客エンゲージメント〜Swedish Orphan Biovitrum Japan(Sobi)
Digital & IT Manager
河上 晃一郎 様
- 水平分業による分断を避け、実行と計測の単位で戦略・データ・システム・人を垂直に繋ぐ「小さな全体」によるアプローチを提示されました。
- 国内初となる Campaign Manager 導入を通じ、意思決定軸での「小さな全体」を作り、改善サイクルを高速で回す基盤として期待が語られました。

Medical keynote― AI 時代における Medical Affairs の価値再定義
- 次世代 MI (Medical Information)エコシステム: MSD メディカルアフェアーズ エグゼクティブディレクター 梅田忠志様より、Vault Medical を活用した MI 変革を発表。MI を最前線のエンゲージメント機能と位置付け、高度化する現場のニーズに応える基盤構築を提示されました。
- AI 時代の価値再定義と連携: 田辺ファーマ株式会社 メディカルアフェアーズ本部 本部長・チーフメディカルオフィサー 地主将久様と Veeva Japan の Commercial & Medical Strategy の責任者である籔花大を交えたパネルセッションでは、医療エコシステムを繋ぐ「コネクター」としての MSL の役割や、患者アウトカム改善に向けた高速なインサイト循環の重要性を議論しました。

次世代プラットフォーム「Vault CRM」とデータソリューションの進化
日本市場における Vault CRM への移行と進化は、着実に加速しています。
- Vault CRM の移行加速と日本独自進化: 国内トップ企業での導入が進む中、Windows版アプリや EPPV 2.0 再設計など、日本の現場に適合した機能拡張を継続。
- HCP Access(Data Cloud)の価値: 業界ベンチマークデータにより他社のアクセス状況を可視化し、MR の訪問効率と ROI を飛躍的に高める新ソリューションとして注目を集めました。
クロージングメッセージ
クロージングでは、アジアと南米の General Manager である Damian Kelly が登壇。日本市場における 15 年の歩みとお客様との「信頼」への感謝を述べるとともに、新たな AI 時代においても日本独自のニーズに応え続ける「妥協なき追求」の姿勢で、日本の製薬業界の変革と成功に貢献し続ける決意を語り、2 日間のサミットを締めくくりました。


▶︎【前編】〜AI 時代における Agentic Commercial と Commercial Evidence がもたらす業界共創の未来〜 を読む